黒き石鹸の呪い
古い洋館の一室。薄暗い部屋の中心には、黒く変色した石鹸が置かれていた。その石鹸は、かつてこの家に住んでいた女性が愛用していたものだという。 彼女は、美貌の持ち主だったが、心は深く傷ついていた。愛した男に裏切られ、絶望の淵に立たされた彼女は、その石鹸にすべての恨みを込めたという。そして、呪いの言葉を唱え、石鹸に黒い力を宿らせたのだ。 それからというもの、この洋館では奇妙な現象が続発するようになった。夜中に物音がしたり、鏡に顔が映らなかったり、時には、気配を感じながらも、その姿を見ることができなかった。 ある日、この洋館を購入した青年、健太は、その黒く変色した石鹸を発見する。彼は、古い洋館に住むことに多少の不安を感じていたが、この石鹸には特に気にも留めなかった。 しかし、その日から、健太の身に異変が起こり始める。夜になると、悪夢にうなされ、寝汗でびっしょりになる。鏡に映る自分の顔が、日に日に青白く、…