ナチュラルおばさんの水着
歳月を重ねた身体には、幾重にも生きてきた時間だけの静かな誇りと、飾りのない優しさがどこまでも深く宿っています。『ナチュラルおばさんの水着』は、都市の喧騒や「若さ」という不自然な固定観念から解き放たれ、素顔のままで豊かな自然と密やかに対話する50代女性の美しさを捉えた写真集です。朝日が海面を揺らす鮮烈な朝から、眩しい陽光が降り注ぐ午後のひととき、そよ風渡る丘の木陰、そして夕空が夜の静寂へと静かに溶けてゆく黄昏まで。寄せる波の音、肌を撫でる潮風、木漏れ日の繊細な揺らぎ、冷たい岩肌の感触に身を委ねるとき、個としての肉体は外界との境界をそっとほどき、広大な風景の一部へと還っていきます。肌の陰影も柔らかさも、すべてを光と風の記憶として愛おしく抱きしめる佇まい。抗うことなく流れる時間の波を受け入れ、ただそこに存在する奇跡を祝福するポエティックな物語が、いま静かに幕を開けます。 境界の解れ 朝靄の消えゆく…