街角|キッチュおねえさんの春服
色褪せた昭和の面影を残す商店街。錆びた鉄パイプ、剥がれかけた古い看板、コンクリートのひび割れた粗面。かつて生活の舞台であったその場所へ、彼女は鮮烈なネオンカラーの衣服を纏って力強く一歩を踏み出す。第2章で人工の色彩を自らに没入させた彼女は、今度はその過剰なスタイルを武器に、見慣れた日常を徹底的に異化し始める。1/500秒の高速シャッターが、アスファルトから跳ね上がる微細な砂塵や、前進する大腿部の筋肉の連動を克明に切り取る。真昼の暴力的な直射光は、彼女の頭頂部や肩口の輪郭に極小のハレーションを生み出し、日よけテントが落とす深いコバルトブルーの影と衝突して、その身体を二つに鋭く切り裂く。顎をわずかに上げ、あるいは鋭く引くことで提示される、30代の成熟した意志。毛穴や涙の膜、激しい呼吸で陥没する鎖骨のくぼみに滲むリアルな汗の質感は、色褪せた世界の硬質な現実感と対峙し、空間そのものを彼女のスタイ…